温泉だよ、全員集合!! その日、ロンド・ミナ・サハクが『天空宣言』を終え、疲労困憊でアメノミハシラに帰ってくると、 「何故プールが出来ているんだ!!」(ミナ) なぜか巨大なプールが出来ていた。 「プールじゃないぜ、お風呂だぜ」(ロウ) すかさずロウが訂正する。 「出たな、元凶」(ミナ) ロウを見た途端、ミナはキッとロウを睨みつける。 「元凶ってひでーな。オレはソキウスに頼まれて造ったんだぜ」(ロウ) 「ソキウスに?」(ミナ) 「はい。ミナ様が日々お疲れなので、疲れが取れるものを造るようご依頼しました」(ソキウス) 「それでこのバカが過大解釈したのか」(ミナ) 「いやー、それほどでもー」(ロウ) 「褒めてない」(ミナ) 全く持ってその通り。 「まあ、ちょっとやりすぎたって反省はしてるよ」(ロウ) 「しているのか」(ミナ) 特殊な事だ。 「だから―――知り合い全員招待してみた」(ロウ) そこにいたのは――今までASTRAYシリーズに登場した、傭兵部隊や使節団、ジャンク屋組合+αである。 傭兵やジャンク屋だけならともかく、ジャーナリストに使節団にMSVに登場したドクターや白鯨や煌く凶星や拳神・・・などがいたのだ。一体いつの間に呼んだのか。どれだけロウの人脈が広いのか、それが良く伺える。 (反省しとらんだろうが!!!) 「いくらなんでも呼びすぎだ!!おまけに、アメノミハシラのスペースをこんなに使いおって」(ミナ) ミナのいう事は尤もである。 いくらアメノミハシラに広いスペースがあるからといって、ジャングル風呂にするスペースは、下手をすればMSの格納庫よりも広い。 そして、ロウが呼んだ人数も多く、そこにアメノミハシラの人々も加われば、もう分けがわからない。 「んじゃあ、壊すか?」(ロウ) 「いや、一回入ってから」(ミナ) 結局入るのか、という突っ込みはなしで、全員でとりあえずジャングル風呂に入ることになった。 * * * ジャングル風呂といっても、ほとんど温水プールに近い。なので、水着着用は必須。 ご丁寧に、男・女とかかれた暖簾がぶら下がった更衣室(脱衣所)で別れて、私服から水着に着替えることになった。 ―男子脱衣所 「よくジャングル風呂なんて思いついたよな」(ジェス) 「調べたら、面白そうでよー。造ってみようって話しになってな」(ロウ) ロウの言葉に、 (それだけで作るジャンク屋って何だよ) ジャンク屋+αを抜かした面子が突っ込みを入れた。 「まあ、風呂はともかくさー・・・」(ジェス) 「?」(ロウ) ジェスの視線の先には・・・ 「何でブーメランパンツ?」(ジェス) 『煌く凶星』ことジャン・キャリーがいた。ほとんどの面子がサーフパンツ(海水パンツ)であるにも関わらず、ジャン だけが、ブーメランパンツだ。 「私などマシな方だ。バリーを見てみろ」(ジャン) といわれて、『拳神』ことバリー・ホーを見る。 「「褌〜!!??」」(ロウ&ジェス) バリーは白い褌(クラシック・パンツ)をはいていた。 「それ、水着か?」(ジェス) 「いや、こっちは下着だ。水着はこっちだ」(バリー) そう言ってバリーが取り出したものは、 「「赤いだけかよ!!」」(ロウ&ジェス) 赤い褌だった。 「それ、意味あるのか?」(ロウ) 「漢の魂の色だ」(バリー) (いや、分けわかんねぇし!) 「流石にトロヤは違うみたいだな」(ロウ) バリーの弟子、トロヤは、皆と同じ海水パンツだった。 「ちょっと布が間に合わなくてさ」(トロヤ) (間に合ったらやってたのか!?) この師弟、分けがわからん! 男どもが満場一致した瞬間だった。 「しっかし・・・男ばっかりじゃつまらんな」(マディガン) カイト・マディガンの言葉にソキウスが素早く反応する。 「ドキ★男だらけの水泳大会。ポロリもあるよ」(ソキウス) 「止めぃ。想像したくねぇ・・・」(マディガン) 全くだ。 何が楽しくって、男の裸体など想像しなければならないのだろう。 きれいなお姉さん方の水泳大会の方が、マディガンからしてみれば魅力的だ(一般的に男から見ればそうだろう)。 ここにいる男どもは、そういったことに興味がないのか、淡白なだけなのか、全く分からない――マディガンは、既に諦めていた。 そんな風なあほな会話をしつつ、着替えを終えた一行は、風呂場へやってきた。 「遅いわよ」(プロフェッサー) そこには、既に着替えを終えた女性陣が、退屈そうに男性陣をまってきた。本来ならば、男の方が着替えが早いのだろう が、あほな事ばかりしていたため遅れたのだ。 「・・・その格好は・・・」(イライジャ) 「あら、何か問題でもあるかしら?」(プロフェッサー) (一部の)女性の姿を見て、(一部の)男性陣は思わず目を逸らす。 プロフェッサーとロレッタ、ジェーンらは、ビギニ&パレオでその豊かな肉体を惜しげもなくさらし、樹里とユンはプロフェッサーたちに及ばないがシンプルながらも身体のラインがきれいに見える水着を着用。ミナは黒いスポーティーな水着で、風花とセトナはワンピースタイプの可愛らしい水着だ ちなみに、ディアゴは水着姿のセトナを見て、ボタボタと鼻血をたらしながら昇天した。その顔はまさ に『我が生涯に一遍の悔い無し』である。 「・・・ディアゴ、どうする?」(ロウ) 「そこら辺に放り投げておいていいですよ?」(ナーエ) (いいのか、そんなんで!?) 何となく、ディアゴの扱いが不憫だが・・・とりあえず、スルーしておく。 「この並びは何か意味でもあるのか?」(ミナ) 不思議な事に、女性陣はプロフェッサー、ロレッタ、ジェーン、樹里、ユン、ミナ、セトナ、風花の順番に並んでいた。 「特に意味はありませんよ?」(ユン) 「そうか・・・?」(ミナ) 絶対に何か意味がありそうなのだが、ミナにはそれが分からない。 「しかし・・・本当に良く作ったものだな」(ミナ) 数種類の温泉だけではなく、各温泉に会った雰囲気になるような小物まである。 「ジャンク屋に不可能はねえからな!」(ロウ) 「・・・」(ミナ) ツッコミ所が満載だが、もう突っ込むのに疲れたミナは、そうか、とだけ言っておいた。 さて、本題の温泉であるが、普通の温泉とサウナ、ジャグジーに打たせ湯になぜか、流れるプールがあった。流れるプールは発案者の趣味だと思われる。ご丁寧に、案内図と効能と成分まで書いてある。 「ロウは最初にどこに行くんだ?」(ジェス) 「ん〜、サウナだな。お楽しみは後にとっておいたほうがいいだろうし」(ロウ) 「じゃあ、オレもそうするかな」(ジェス) 「我々はどうしましょうか?」(リーアム) 「そうですね〜、ジャグジーにでも言ってみましょうか?」(ナーエ) 「おかあさんはどうするの?」(風花) 「そうね・・・打たせ湯に興味があるから、いってみましょうか?」(ロレッタ) 「うん!」(風花) ・・・とまあ、皆好き勝手に各温泉(?)へ・・・。 ※ここら先は、ほとんどミナさまの視点です。 皆散り散りになったため、ミナは一人で温泉を廻る事にした。全部軽く見て廻って、その中からきにいったところに行こうと思ったからだ。 ミナが最初に向かったのはジャグジーだ。別に深い意味は無い。単にミナのいる場所から近いだけだからである。 ジャグジーには既に何人かの先客がおり、その中にはユンとリーアムとナーエの姿もあった。特におしゃべりをするわけではないが、3人仲良くジャグジーを楽しんでいる。 (ユンののほほんとした雰囲気は、あやつらに通じるものがあるのか・・・)(ミナ) なぜか、三人の周囲はパステルカラーの花が咲き乱れれているように見える―――あまりののほほんっぷりに、花が咲いてしまったのだろう。現に、ジャグジーにいる人々は、三人と同じようにのほほんとした表情になっていた。 次に向かったのは打たせ湯。その名の通り、高いところからお湯が滝のように落ちてくる温泉だ。 そこにいたのは、ロレッタと風花の母子、エドワードとジェーンのカップルだ。 風花とロレッタはその一時を楽しんでいるが、エドワードとジェーンは、何故か必死の攻防戦を続けていた。 きっとエドワードがジェーンにちょっかいを出したのだろう。 そこにいた人々は、遠巻きにその様子を見ていた――ミナは恋人同士のやり取りを見て楽しむような人間ではないため、直ぐにその場を去った。 その次のサウナは、ロウとジェスが最初に向かった場所だ。 あの二人のことだから、サウナでも何かの話で盛り上げっているのだろう――そう予想したミナは、うっすらと口元に笑みを浮かべた。 だが、サウナの扉で数名の人間が固まっている。イライジャ、カナード、アグニス、アイザック――別名・ヘタレ四人衆が真っ赤になって座り込んでいた。 「何だ?」(ミナ) 不審に思って扉の窓からサウナを覗き込んでみると 「ぅ・・・」(ミナ) 流石のミナでも、言葉を詰まらせる。 サウナにいたのは、ロウ、ジェス、劾、ジャン、バリー、何故かソキウス、その他無口な男性キャラ。男率120%、入っただけで妊娠しそうな勢いである。 おまけに、『喋りたくても喋れないキャラ』と『喋らないキャラ』にきれいに別れていた。 前者はロウとジェス、後者は劾、ジャン、バリー、ソキウスらだ。 「・・・止めておくか」(ミナ) 流石のミナもこれに入る勇気はなく、大人しく、普通の温泉へ向かった。 変わった温泉もいいが、やはりオーソドックスなのが一番落ち着く。見れば、ミナ以外の人々も、くつろいだ表情で温泉につかっている。 このまま穏やかな時間だけが過ぎればいい・・・ミナは思った。 だが、そういかないのが人生だ。 ゴゴゴゴゴ・・・・!!! 地響きと共に、温泉の水が溢れ出したのだ。 「な!?」 「一体、何があったんですか!?」 「樹里とユンのドジっこコンビが、温泉を管理してるせんを外しちゃったらしいんだ!!」 「どこのギャグ漫画だ!!」 そんな会話が所々聞こえてくると同時に、人々は波に飲まれた。 ・・・・・・・・・。 そして、どのくらい経っただろうか。 カナードがゆっくりと起き上がると、視界が暗いことに気がついた。己の司会を覆っているものを撮ったカナードが、それをまじまじと見る。 「水着、か?」(カナード) 彼の手に合ったのは、黒い水着だ。 「それは、ミナ様のものではないか?」 「と、いう事は、ポロリ要員はロンド・ミナ・サハク!!」 一部の男性陣が、バッとミナを見た、が、 『なっ・・・!!??』 既にミナはタオルを巻いていた。 ソキウスが大きめのタオルを差し出し、素早くミナがタオルを巻いたのだ。自分の主人は自分で守る――ソキウスらしい考えだ。 ミナのポロリが見れず、涙を呑む男たち。 相変わらずのほほんとしている人々。 矢張り水に飲まれてしまったヘタレ共。 運良く騒動に巻き込まれたなかった人々・・・色々会ったが、とりあえず、温泉騒動はひとまず幕を閉じた。 けれど。 また、何かあるんじゃないか。 皆はそう考えていた。 END |
後書き
ネタ提供者は実兄でした。
もう少しギャグにする予定でしたが、やりすぎるのもアレなので、自粛しました。