A warm thing.




 JBAでクリスマスパーティーが行われた。

  一般家庭では見られない大きさのツリーに飾り付けを施し、参加者は協力してご馳走を作った。
 今日ばかりは『無礼講』という事で、大人はお酒を飲み、子ども達は好き勝手に遊んだ (オーグルはによって、サンタクロースの帽子をかぶせられ、鈴と柊のついたリボンを首に巻かれたがw)


  6時前にはクリスマスパーティーはお開きになり、JBAの研究員は後片付けを、子ども達はそれぞれの家路へと急いだ。




「あのさ、ちょっと、うちに寄れないかな?」


 がチームガッツの面々に言った。
「俺は別に構わないよ」
 とタマゴ。
「俺も構わないぜ」
  とビリー。
「ボクも平気だけど」
  とサラー。
「何考えてるんや?」
  とガンマ。
「何かくれるんかニャー?」
  とネコマル。
 ネコマルの言葉には曖昧な笑みを浮かべる。

「ちょっとね」

 に導かれるまま、に家へ向かう。

  その間、他愛も無い話で盛り上がった。

 既に日落ちて、街灯と星の光のみが闇を照らしている。



 は家に着くや否や、5人を玄関で待たせ、急いで何かを持ってきた。

「はい」

 赤・紺色・青・緑・黄色のリボンのついた、クリスマスらしい袋を手渡した。
  赤はタマゴ、紺色はガンマ、青はサラー、緑はビリー、黄色はネコマル。


「クリスマスプレゼントだよ」


 ガサガサと開けてみると、中からマフラーが出てきた。 白とリボンと同じ色が混ざった毛糸で編まれたものだった。 網目がとんでいたり、所々ほつれていたりしていて、それが彼女の手作りなのだと、直ぐに気がついた。

「凄いニャ」
「よく編めたね」
「まあね」
「つーか、何で5人分も編んだや?」
「お世話になってるし」
「そうか(お世話になってるのか?)」
「器用だね」
「マフラーは真っ直ぐ編むだけだから」
 単調な作業だったんだよ。
  5人はマフラーなど編んだ事が無いので、その作業がどんなものか知らないが、 5人分編むのは大変な作業である事は間違いない。
 それを、何の苦労も見せずに微笑んでみる目の前の少女に対して、不思議な暖かい感情が燻ってきた。



「そうだ、これ、俺達から」


  タマゴが上着のポケットから、掌サイズの袋を取り出した。

 こちらも綺麗にラッピングが施されている。


 開けてみると、ピンク色の薔薇のブローチが出てきた。 100円ショップなどで売っている直ぐに安物と分かる物とは違い、とても綺麗で上品なものだった。


「いいの、こんな高価なもの!?」


 は慌てている。
  それを見た5人は面白そうに笑った。

「皆でお金を出し合って買った物なんだ」

「そんな高価なものじゃないしね」

「俺達の気持ちだよ」

「気にせんで受けってくれや」

「そうニャ!」

  言われて、は嬉しいような、困ったような表情で言った。
 

「ありがとう。大切にするね」



 そして、から貰ったマフラーを巻いて、それの家路へ急いだ。



 例え。


 がまだ恋愛感情を自分達に抱かなくても、



 自分達以外の誰かを選んでも。


 きっと。


 このとき感じた暖かい感情を忘れる事は無い。





 今はまだ、このままの関係で。






END