君が輝いていたのは、きっと雪が見せた幻想・・・。




  キラキラと君輝いて








 暖冬と騒がれた冬、珍しく、東京に雪が降った。 直ぐに解けてしまいそうな雪ではなく、いつまでも残りそうな大雪だった。

「雪だー!」
 は久しぶりに大雪が見られて興奮しているのか、庭に積もった雪を見て、嬉しそうに何度も母に報告する。
 は東京出身ではない。地方、それも北よりの出身なのだ。
「今日はJBAに行くのね?」
「うん」
 母が作ってくれた昼食を食べながら、は頷く。
「外、かなり寒いから暖かい格好しなきゃ駄目よ?」
「うん」
 楽しそうな愛娘を見て、母は午前中に作ったパウンドケーキでも包もうかしら、と考えた。






 昼食の後片付けも終わり、パウンドケーキを包んでいると、トタトタ・・・と階段を下りてくる音がした。
 は淡い色のダッフルコートを羽織り、雪の結晶の模様の入ったマフラーを首に巻き、マフラーとおそろいの手袋、ダッフルコートのポケットが膨らんでいるのは、大切な相棒がいるからか。
「じゃあ、行ってくるね!」
 キャラメルカラーのスノーブーツを穿いて、出て行こうとするのを、母が止めた。
「はい。お土産もっていきなさい」
「はーい!」
 結局手提げカバンを持っていく事になった。



 ザクザクザク・・・。

 見渡す限り、一面の銀世界。
 ご近所さんは家の前は雪かきをしてあるが、流石に道路まで手が回らなかったのか、道路にはほんの少ししか足跡が無い。
「さむ・・・」
 ハァ、と吐き出される息は白く、晴れ渡った青空に消えていく。
 そのままJBAの研究所へと足を向けた。



 しばらくすると、

〜!!」

 タマゴとガンマの姿が見えた。二人ともと同じく温かそうな格好をしている。
「寒いね」
「冬やな」
「そうだね」
 右にタマゴ、真ん中に、左にガンマ。
 学校内での移動時や、JBAに行く途中など、気がつくとこの隊列で移動する。

 そのまま、JBAまでいくのだが、途中でビリーやサラー、ネコマルと言った、チームガッツのメンバーと合流する。

 一応、JBA研究所集合なのだが、皆、と一緒にいたいわけで。

 他愛も無い話で盛り上がっていると、何を思ったのか、は汚れていない雪を両手ですくい、軽く力を入れて丸めた。


 そして。


「それ〜!」



 ボスッ




 ガンマの黒髪が、一気に白くなる。
「こ〜の〜!!」
 ガンマが仕返し!とばかりにに雪だまを投げつけた。 しかし、はそれを器用に避ける。 おまけに、避けた所にはネコマルがいて、しかも、顔面に当たった。
「何するニャー!!」
 今度はネコマルが雪だまを投げ、ビリーがそれを軽く避ける、が、背中に衝撃を感じた。
 振り返ると、笑顔のがいた。
「背中ががら空きだよ!」
 ビシッとビリーに指を刺す(注:人を指差すのはいけません)。
「そういうも、な!」
「きゃっ!?」
 今度はが背中に衝撃を感じる番だった。振り返ると、口元に軽く笑みを浮かべたガンマがいた。
「やったな〜!!」
 元はが仕掛けた事なのだが、それを綺麗に忘れて、笑いながらガンマに雪だまを投げつけた。
!」
 タマゴが持っていた雪だまを一つ、に放り投げた。
 それを使え、との事らしい。
 そのことを理解したは、更に攻撃を加え、いつの間にか、雪合戦へと発展した。


「・・・えーっと・・・」

 雪合戦に参加していないのはサラーだけだった。 アラブ出身で良い学校に通っているサラーは、雪に触れる機会があっても、級友達と雪合戦をした事が無かった。
「ほら、サラー君も!」
 は雪だまをサラーに手渡す。
「えっと、どうすれば・・・」
「この雪だまをね、相手に向かって投げる遊びなの。やってみると面白いよ」
 こーゆー風に。
 と、はサラーの顔面めがけて、持っていた雪だまを投げた。 途端、サラーの金髪が白く染まる。

さん!」

 顔についた雪を払っている間に、は他の4人に攻撃を仕掛けたところだった。

 サラーは一瞬行動を停止したが、見よう見まねで雪合戦に参加した。

 ずっと同じ場所に留まっている事は無く、JBAまで走りながら互いに雪をぶつけ合う。


 ずっと雲に隠れていた太陽が現れ、町全体を照らし、キラキラと輝く。


 白銀の世界が、服についたり体温で解けた雪の水滴が、そして、満面の笑みのが、一際キラキラと輝いている。


 その様はまるで、御伽噺に出てくる妖精や天使のようだと、皆思った。


「早くー!!」


 一番前を走っていたが振り返って手を振った。


 5人は顔を見合わせて走り出した。



END


  ―おまけ―

 休み明けの学校にて。
、知ってる?」
「何が?」
「サラーとビリーとネコマルが風邪引いたんだって」
「へー。そーいえば、ガンマ君も来てないね」
「風邪かな?」
「かな?」



再び白銀様から888番のリクです。
遅れて申し訳ないです。
この面子で雪合戦をしたらどうなるか、と思って書きました。

ヒロイン・・・とりあえず突撃。
タマゴ・・・自分が当たるのも構わず攻撃。
ガンマ・・・一人を執拗に追い回す。
サラー・・・気がついたら巻き込まれていた。
ビリー・・・うまい具合に逃げ回って共倒れを狙う(え?
ネコマル・・・敵味方関係なしに攻撃。

です。
ヒロインとタマゴは、他の4人と比べて身体が丈夫なだけです。
白銀様、こんな夢でOKですか・・・?