あなたは誰のもの?
木の葉隠れの里から少々離れた林に響き渡る、木と木がぶつかる音。 音がするのはその林の一角である。 木々の枝に吊るされた大きさや形がまばらな木片が不規則にゆれている。 その木片を避けながら叩いている人物がいた。 下忍のである。 男のような顔立ちに加え、160センチと12歳にしては高めの身長により、よく少年に間違えられるが、 はれっきとした少女である。 男顔負けの行動やまっすぐな心、時折見せる年相応の笑顔に魅了される者は多く、 想いを寄せるものはかなりいる。 しかし、本人はいたってマイペースに我が道を行くのだ。 今日も今日とて修行に励む。 任務が無い時は決まってこの場所で自主的に修行を行っている。 木々の枝に吊るした木片は、一度揺らすと不規則に揺れる為、反射神経と動体視力を鍛えることが出来るのだ。 不規則にゆれる木片を避けながら叩くのは難しいことで、の腕などにはいつも青痣が出来ていた。 「今日は、これくらいにしておくか・・・」 木片の群れから抜け出したは、近くを流れる清流へと足を向けた。 清流は澄んでいる為、魚たちが泳ぐ姿が見える。 バシャバシャ、と顔を洗い、汗を流した。 「あ、タオル忘れた・・・」 洗い終わると、顔をふくタオルが無いことに気づいた。 たまには自然乾燥でもさせよう、と思い、顔を上げると、 「ちゃん!」 を呼ぶ声が聞こえた。 「ナルト?」 ナルトだった。 ナルトはの前にタオルを差し出した。 「俺、タオル持ってきたんだってばよ。使って良いぜ」 「そうか?じゃあ、借り・・・」 が手を伸ばした瞬間、 ドカッ、ドボーン・・・ と、いう音と共に、ナルトが清流へと消えた。 「な、何だ・・・?」 唖然とするの前に、サスケが現れた 「サスケ、お前、何したんだよ・・・」 「ナルトに先を越されそうだったからな」 フッと笑うサスケに呆れ気味の。 「それよりもこれを使え」 サスケがにタオルを差し出した。 「え?」 少々驚くを見て、内心喜ぶサスケだったが、邪魔はいつでも入るもの。 ガガガッ サスケの足元に無数のクナイが刺さっていた。 「サスケ、抜け駆けをするな!」 「そうだぜ!」 ネジとキバが木の影から現れた。 「ネジ?キバ?」 それを見て、驚くと舌打ちをするサスケ。 「、サスケのものではなく、俺のものを使え」 「いや、俺のだ!!」 2人は同時ににタオルを差し出した。 「いや・・・」 自然乾燥したから・・・ そう言おうと思ったら 「めんどくせーけど貸すぜ」 「さん!僕のをどうぞ!!」 シカマルとリーが現れ、にタオルを差し出した。 「サスケ、テメー何すんだってばよ!!」 清流から帰還したナルトがサスケに食って掛かった。 「ウスラントンカチのくせに抜け駆けしようとするからだ」 「俺がどう行動しようと俺の勝手だ!」 そのまま口喧嘩を始める6人。 「・・・」 はそのまま去ろうとした。 しかし 「〜!」 「〜、探したわよ〜!!」 いのとサクラが左右からに抱きついた。 「俺に何か用?」 「そうなの。良かったら、この後2人だけで遊ばない?」 「抜け駆け厳禁よ、いのぶた!!」 「言ったもん勝ちよ、デコリンちゃん」 みんなで遊ぶって言う選択は無いのか? 疑問を抱きつつもこれといったリアクションをしない。 ただたんに面倒なだけである。 「あの、ちゃん・・・」 別の方から声がした。 「ヒナタ?どうかしたのか?」 がヒナタのほうへ歩いていく。 「あの・・・良かったら・・・その・・・」 「?」 「一緒に図書館行かない?」 「図書館か・・・」 ふむ、と考え込む。 は読書が好きなため、よく図書館へ行く。 ヒナタもよく図書館へ行くため、よく図書館で顔を合わせるのだ。 その際には、お互いのお勧めの本を紹介しあう仲である。 「この間読んでた本の続き見つけたの・・・」 「ホント?」 図書館も良いよな〜 「良いね、行こ・・・」 同意しようとしたが、巨大な何かが飛んできたため、全員跳躍する。 「扇子・・・?」 飛んできたものは、巨大な扇子だった。 「見つけたよ、」 砂の里のくノ一・テマリの登場である。 「テマリさん―――でしたっけ?」 「覚えててくれて光栄だな」 テマリがに近づく。 「俺に何か用ですか?」 年上なので敬語を使う。 の祖父母は厳格なため、基本的な礼儀作法は一通り身についている。 漢らしいだが、実はどのくノ一よりもくノ一らしいのだ。 「ああ。今ヒマか?」 「え?」 「ヒマだったら、砂の里に来ないか?」 歓迎するぞ と笑顔のテマリ。 偶然見かけた修行中のの凛々しさと、笑顔に一目惚れしたテマリだった。 「え?いや・・・」 突然の事に焦る。 「ちょっと、勝手に決めないでよ!!」 「そうよ!!」 「何だ、文句あるのか?」 「喧嘩はやめてくれ」 「何でお前がいるんだってばよ!!」 「さんは僕と修行するです!!」 「いや、俺と赤丸と遊ぶんだ!!」 「みんな落ち着けよ」 「ちゃんは、私と図書館に行くの・・・」 「、こんな奴らは放っておいて、俺と修行しよう」 「何を言っているんだ、は俺と過ごすんだ!!」 口々に主張する面子を見て、 「人の話を聞けよ、ゴルァ」 ちっとも聞いてくれない。 怒りを通り越して呆れかえるは、その場を去っていった。 歩くこと30分、がよく寝転んでいる草原へとやってきた。 ゴロンと寝転がる。 目を閉じて、草原を渡る風を肌で感じた。 さわさわと揺れる草花のかすかな音が心地よい。 「何でみんな喧嘩するのかなー?」 自分に原因があることに、はまったく気づいていない。 はあまりにも魅力的すぎて、みんなベタ惚れなのだ。 冷静な洞察力を備えているのに、かなりマイペースというギャップ。 上に行くためには努力を惜しまず、積極的で頑張り屋。 漢らしいけれど、時折見せる少女らしい行動や笑顔。 修行や任務の時に見せる凛々しい笑顔に、漢前な笑顔と発言(褒め言葉)。 誰にでも平等に接し、その優しさを誰にでも分け与える。 そんな彼女に、惚れない輩がいないというのか! と、言うのが、に惚れている者達の弁。 しかし、本人はまったく気づいていない。 「あー、空が綺麗だー・・・」 ボーッと空を眺めていると、誰かが近づいてくる気配を感じた。 「誰だ?」 起き上がり、木刀を握り締める。 「・・・」 巨大なひょうたんを背負った我愛羅がそこにいた。 「我愛羅か。どうかしたのか?」 我愛羅がの横に腰掛ける。 「お前を探していた」 「俺を?何で?」 先ほどの出来事もあり、怪訝な顔をする。 「に逢いたかった」 「何で?」 「それは・・・」 に真っ直ぐ見つめられ、頬を赤らめた我愛羅は思わず顔を背けた。 「?」 こいつ、こんなキャラだったっけ? 不審に思うとは裏腹に、我愛羅は自分を落ち着かせようとした。 「俺は、お前のことが―――」 の方を向き、その肩をガシッと掴む、が、 「〜、何してんの〜?」 カカシが現れた。 「寝転んでました」 「それは見れば分かるって」 「では我愛羅に肩を掴まれました、とでも答えましょうか?」 は大真面目であるが、カカシから見ればかなり可笑しく見える。 「君ね〜、勝手に人のものに手を出さないでくれない?」 「は?」 「はお前のものじゃない」 カカシの言葉に怪訝な顔をするとそれを否定する我愛羅。 「は絶対将来良い女になるから、今のうちにモノにしておかないと」 「・・・(汗)」 「変態」 カカシと我愛羅の背後に龍と虎が見えるのは気の所為ではないだろうか・・・。 は内心冷や汗をかいた 『(ちゃん)!!』 走ってくる9人。 ようやくがいないことに気づいたらしい。 「何でカカシ先生がいるだってばよ!!」 「を探しに来たからに決まってるじゃないか」 「こいつは変態だ!」 「そうだろうな」 「、こんな奴の言うことを聞くな!」 「そうだ!」 「カカシ先生ってロリコンだったの!?」 「うそ〜!信じられな〜い!」 「見損ないました、カカシ先生!!」 「何で我愛羅とテマリがいるんだ?」 「ちゃん、その・・・」 言い争いをする面子を見たは、 「帰るか」 さっさと帰っていった。 「あ、ちゃんがいないってばよ〜!!」 『えっ!!??』 その事に気づいたのはそれから30分後のことだった。 「お汁粉おいしいですね〜」 「そうですね〜。あ、あんだんご追加しましょうか」 「はい!」 里に戻ったは、知り合いの特別上忍・に甘味処でお汁粉をご馳走になっていた。 END |
後書き
逆ハーなんですけど、逆ハーに見えます?
私はこういうノリが好きです。
ついでに、可愛いヒロインも好きだけど、格好良いヒロインも好きです。