赤と青と黄色は色の三原色 赤と青と緑は光の三原色 三原色 朱塗りの鳥居が海に浮かぶ厳島神社。長い歴史の中で、その姿は何度も奪われかけてきた。 ある時は朝廷の命令。 ある時は戦い。 ある時は・・・。 何度も侵略が有り、神社の人々は自分達で護る術―――『厳島流闘剣術』を学び、それは現代へ受け継がれていた。 そんな厳島神社に丹波 大納言が訪れていた。彼はかつて此処で闘剣術を学び、それを生かした仕事をしている。 「あら、お久しぶりですね。丹波さん」 久しぶりに訪れた神社を堪能していた彼に、巫女服の女性が話しかけてきた。 「そちらも元気そうでなによりです」 この神社を取り仕切る巫女、厳島 春奈である。 漆黒で癖の無いストレートと雪のように白い肌の彼女は、日本美人と称してもおかしくない女性だ。 「時間が出来たから、久しぶりに、ね」 大納言が人の良さそうな笑みを浮かべると、彼女もまた同じような笑みを浮かべる。 そのまま何気なく話をしながら歩く。 ふと、大納言はある一点を見た。 「相変わらず、三原色トリオは元気みたいですね」 「ええ。元気ですよ」 春奈も同じ方向に目をやる。 二人の視線に先にいるのは、暗緑のロングヘアーを一つに縛った子どもと、青みがかった銀髪にシャギーの入ったボブの子どもと、無造作に切られた赤い短髪の子どもだ。 面白い事にこの三人の瞳は、それぞれ深い蒼色・燃えるような紅色・オレンジに近い黄色といった三色で構成されている。 この三人はよく行動を共にしている事もあり、一部の人間から『三原色トリオ』を呼ばれている。 赤と青と黄色は色の三原色。 赤と青と緑は光の三原色。 暗緑のロングヘアーを一つに縛った深い蒼の瞳は、天野 香澄。 青みがかった銀髪にシャギーの入ったボブの燃えるような紅い瞳は、五島 夜羽子。 無造作に切られた赤い短髪のオレンジに近い黄色の瞳は、海神 旋。 緑の大地と蒼い海。 青空と紅い焔。 赤い夕焼けと黄色い太陽 天と島と海。 束縛を嫌う鳥と地を駆ける獣と気まぐれな魚。 三人ともバラバラで、調和し、反発する要素を持った子どもたち。 二人の目には、三人が話している姿がうつっている。 三原色の子どもたちは、ボケと突っ込みとネタふりの三要素でも構成されている。旋がネタをふって、香澄がボケて、夜羽子が突っ込みを入れる。 「元気ですね、あの子達は」 人を信じられず、人を見下し、友人を簡単に殺してしまう子どもがいる。 傷つきたくないから、人と真っ向から対峙できず、負の感情を心に押し込めて『殺人』という手でそれを発散させる。 何故そう簡単に殺してしまうのだろうか。 大人達は好き勝手云っているが、子どもの事など子どもにしか分からない。否、子どもにも分からないのかもしれない。 人間の心など、その深層目を凝らしても見えないのだから。 「あの子達みたいな子は、貴重ですよ」 「そうですね」 あの三人は、自分の意見をきちんと持っている。それ故に、反発する事もある。 けれど、きちんと相手を向き合って話をしているのだ。 そんな事を大納言と春奈が話していると、蒼い瞳がこちらを見た。 「丹波さん、春奈さん!」 香澄が嬉しそうに手を振った。それに気づいた夜羽子と旋も手を振る。 そんな三人の姿に苦笑を浮かべつつ、二人は三原色の方へ向かっていった。 赤と青と黄色は色の三原色 赤と青と緑は光の三原色 END |
後書き
別名『信号機トリオ』w。
今まで登場しなかったキャラが数名ほどいます。
この三原色トリオは自分では結構気に入ってます。
おまけのキャラ紹介
天野 香澄(あまの かすみ)
信号機トリオの青(女)。他のキャラから愛されて(心配されて?)いる。
ひたすらボケ。天然を通り越した大ボケ。愛刀は鬼神丸国重
五島 夜羽子(ごとう ようこ)
信号機トリオの赤(女)。香澄・旋の良き友人。
周囲にボケキャラしかいないため、突っ込みに回っている。愛刀は長曽根虎徹。
海神 旋(わだつみ せん)
信号機トリオの黄(男)。香澄・夜羽子の良き友人。
良くネタを振って遊んでいる。上記の二人とは別の県に住んでいる。愛刀は手柄山氏繁。
丹波 大納言(たんば だいなごん)
本名不明で年齢不肖なお兄さん。香澄達の先輩に当たる。
無類の豆好き。毛深い猫を相棒としている。愛刀は菊一文字。
厳島 春奈(いつくしま はるな)
厳島神社を取り仕切っている巫女さん。
日本美人で、ある意味最強な方。愛刀は和泉守兼定。