穏やかな日 村雨が暖かな陽気に誘われて、外に出てみれば、大きな木の下の芝生にねっころがっている滝がいた。 「滝さん?」 名前を呼んでみるが、返事がない。 彼は穏やかな顔で夢の世界の住人となっていた。 村雨はしばらく滝を監察していたが、起きる気配がないため、伸ばされた右腕に頭を乗せた。 FBIである滝は、その身をNYに置いている。 日本にくることはあまりなく、来たとしても他のライダーがいつも傍にいるため、 村雨自身が彼の傍にいることは少ない。 穏やかな光の中、村雨もゆっくりと目を閉じた。 次にやってきたのは、アマゾンと神だった。 手足を伸ばしている滝と、彼の右手に頭を乗せている村雨。 「タキ、ムラサメ、寝てる?」 アマゾンがヒラヒラと二人の眼前で手を振るが、二人は反応を示さない。 「滝さーん、起きてますかー?」 やはり反応がない。 すると、何思ったのかアマゾンは滝の左太ももに頭を乗せて丸まった。。 ちょっと羨ましいと思った神だった。 「タキ寝ている。だから俺も寝る」 ケイスケも寝るか? 「寝る!」 アマゾンの言葉に凄い勢いで頷く神。 神は開いている方にしゃがみ、滝の左腕に頭を乗せた。 彼の想い人である滝の周りにはいつも誰かしらいるため、ゆっくり話す機会もないし、こうやって傍にいることも 許されない。 神は、今、自分がこの状態でいることを珍しく神様に感謝した。 ほどなくして、アマゾンと神も深い眠りに落ちていった。 続いて、城と筑波と沖。 三人は何やかんや話している。 最近のニュースやCD、流行について・・・若い世代(?)のため、話題は尽きない。 そして、寝ている四人を見つけて 「「「・・・」」」 何故か黙り込んでしまった。 いつもより穏やかな村雨、幸せそうな神、いつもと変わらないアマゾン、ちょっと苦しそうな滝。 「えーっと・・・どうする?」 「どうするも何も・・・」 筑波と沖が顔を見合わせた。 城先輩に任せよう、アイコンタクトをし、二人は城を見た。 城はしばし4人を眺めていた。 ニヤリと笑い、筑波と沖を見た。 「俺らも寝るか?」 という城の言葉に 「「え?」」 二人は同時に驚いた。 城はそれを予測していたかのように軽く笑い、村雨と反対向きになるように右腕の開いているほうへ乗せ、目を閉じた。 「お前らも早く寝ろよー」 そう言われても、正直、リアクションに困る、が 「寝ますか」 「そうだな」 素直に先輩の言う事に従った。 沖は神と反対向きになるように右腕に頭を乗せ、筑波は右太ももに頭を乗せた。 ゆっくりと舟をこぎ、彼らも眠りの世界の住人となっていった。 「おい、見てみろよ」 一文字が面白そうに笑っている。 先輩の言う事に従い、風見と結城が 素直に指示された方向を見れば、のんきに寝ている先輩の親友と後輩達。 「苦しくないかな・・・」 滝を気遣う結城。 風見はこめかみに青筋を立てている。 滝はともかく、後輩達は何故のんきに寝ているのだろうか。しかも、滝を枕代わりにして。 「・・・起こしますか?」 「ちょ・・・可哀想だよ、風見」 いつもより幸せそうな神を踏みつけようとしている風見を必死になって結城が止めている。 「起こしてもいいけどよー、それだと面白くないよな」 「「・・・は?」」 一文字の言葉に、風見と結城が疑問符を浮かべる。 「つーわけで、俺らも寝るか」 さっさと寝ろー。 笑いながら、一文字は丸まっている神とアマゾンの間にうまく入り、滝の腹の上に軽く頭を乗せた。 むろん、いつも被っている帽子を自分の顔にかぶせて。 苦しそうな滝が余計苦しそうになったのは、気の所為ではないだろうか? お気楽な先輩を前に、風見はどうしようかと悩んだが、が。 「風見も寝たら?」 結城はさっさと左足に頭を乗せ、仰向けになっていた。 「結城・・・!」 わなわなと震える風見。 ある意味マイペースな結城らしい行動だ。 このライダーズの中で、マトモな人はいないのだろうか! (一応)ライダーズの中でマトモな方にはいる風見だが、ここまでされるとヤケになるしかない。 風見も右足に頭を乗せた。 さわさわと風が木々の葉を揺らす。 優しい風が、彼らを包み込んだ。 さて、どうしたものか。 本郷は苦笑しながら、木陰で眠っている10人を見た。 改造人間という業を背負い、戦いに身を委ねる、正義のヒーロー達から普段見れない光景だ。 その中心ともなっている友人は、かなり苦しそうだが。 「大変だな、滝」 本郷は木の根元に座った。 いつもより優しい瞳で、夢の世界にいる仲間達を見つめた。 いつしか、本郷も緩やかに夢の世界へ下っていった。 それは、戦いからかけ離れた、穏やかな日常。 たまにはこんな日があってもいいな・・・。 そう呟いたのは、誰だったか。 |
END |
滝さんが大変です。
本郷さんを除く9人に乗っかられて苦しそう・・・私は書いていて楽しかったですが。
やっぱり滝さんは愛されていなきゃ!
そう思って描いたのですが・・・愛されているように見えます?