体調不良の原因は?A



「疲れた・・・」
仕事(出張)先のカナダからFBI本部のあるNYに帰国した葛生圭は、本部に報告に戻らず、行きつけの喫茶店へ向かった。

行きつけの喫茶店にやってきた圭は、店内に同僚とその友人を見つけた。
「滝に本郷さん」
「お、帰ってきたのか?」
「一応。報告はまだだけど」
圭は一応断りを入れて、滝と本郷と同じテーブルに座り、コーヒーを注文した。彼が注文したのは、この店で一番気に入っているブルーマウンテンだ。
コーヒーがくるまでとりとめの無い話をし、コーヒーがやってきたので、彼はコーヒーを口に含んだ。
そこで一息ついたらしく、圭は滝に云った。


「まだ祓ってないんだ」


と。

しばし沈黙。

「・・・祓ってない・・だと・・・?」
その沈黙を破ったのは、本郷だった。
「ああ。この間忠告したのに、滝の奴、全然祓ってないから」
のんびりとした口調で圭が言う。
滝が日本から帰国した時からずっと無数に憑いてるのに、全然気づかないらしくって」
鈍いよなー、とのんきに言う圭に、滝が食って掛かった。
「冗談じゃなかったのか!?」
「俺が冗談を言うと思うか?」
などと、真顔で言われてしまっては、滝が反論する術も無い。
葛生圭は真面目だがおちゃめな一面があるが、滅多な事では冗談はいわない性質の人間だ。
だから、これは冗談ではなく、真実だと、圭は無言で滝に語った。

「・・・その、憑いているものは、何だ?」

怒気を隠しきれていない本郷が圭に問いかける。


「何って『人間だったモノ』

圭はポケットからメモ帳とペンを取り出すと、サラサラと絵を描き始めた。
そこに描かれているものは、かつて、自分達が戦った悪の秘密結社の戦闘員達(怪人・下っ端問わず)だ。
「大体こんなのが無数に憑いてる」
サラリ、と平気で言ってのけた。
「そうか・・・滝、今すぐ祓いに行こう」
本郷さん、目が笑っていません(by天の声)
「簡単にお祓いなんかに行けるか!!有給申請とか大変なんだぞ!」
「あ、こいつら日本産だから、教会でやるよりも神社とかお寺の方が良いと思うけどな」
個人的に、多氣不動尊とかがお勧めかな。殺伐とした雰囲気の中、圭はいつもと変わらぬペースでコーヒーを飲んでいた。
「そうか。ならそこに行こう」
「行くの決定かよ!」
「お土産よろしく」
ちゃっかり土産を要求した圭は、本郷と彼に無理矢理引きずられていく滝を見送った。



そして、後日。
帰国した滝と出会った圭は、彼を見て一言言った。
「完全に祓われて良かったな」
「・・・おう・・・」
「滝は憑かれ易いから、気をつけろよ」

  END



後書き
 ようやく書きたい所がかけたって感じです。
 お祓いのために帰国した本郷さんと滝さんがどうなったのか、ご自由にご想像下さい。
 ここでの圭と本郷さんは顔見知り程度で、そんなに親しくありません。なので、お互いを苗字で呼ばせました。
 書いておいてなんですけど、圭が不思議キャラになっちゃった・・・。